株初心者のためのマーケットの読み方入門

株を初めて買ってみた、という初心者にとって、市場の株価の値動きというのはとてもわかりにくいものです。様々な要素が絡み合って市場が動くので予想外の値動きをすることも多々あり、なんだかよくわからないな、と感じる人も多いのではないでしょうか。

株価が会社の業績だけに関連して動くなら、どれだけわかりやすいことでしょうか。その会社の財務状況の健全性や、行っている事業がうまくいっているか、利益が出ているか、また将来性はあるか。。。このような要素だけで株価の上がり下がりが起こるのであれば、ある意味とてもわかりやすいのですが、株というものは周りの影響や投資家の心理にも影響されて株価が上下しますので一筋縄ではいきません。

株初心者からすると、なぜそのような値動きになるのかピンとこないかもしれません。その会社の業績や将来性が一番大切だし、株はそれによって評価されるべきだと思うのも無理はありません。しかし、株式市場は、実際は様々な要素に影響されながら動いています。

その仕組みを少しでも知り、知識を少しずつ増やしていくことで、株というものに対する漠然とした不安感を少しずつ和らげることができますし、運用に対する興味もきっと湧いてくることでしょう。

アメリカの市場の値動き

世界の株式市場は密接につながっています。東京証券取引所は時差の関係で、NYの市場が終わって数時間後に開きます。世界にはNYや東京、ロンドン、欧州、上海や香港などに証券取引所があります。時価総額ではNYが1位で、ナスダックOMXが2位、東京証券取引所が3位、上海証券取引所が4位となっています。NY証券取引所での取引額が一番多く、全体の約30%を占めています。東京は3位ですが、約7%しかなく、世界の株の取引におけるNY証券取引所の存在感の大きさがわかると思います。

日本の市場関係者は、前日のダウ平均株価(NY証券取引所における株価指数。東京証券取引所の日経平均株価のようなもの)が上がったか下がったかということを日々注目しています。なぜならば、東京市場での投資家の動向はNY市場と同じことが多いためです。

NYが上がると東京も上がり、NYが下がると東京でも下がるというのが一般的な動きです。ダウ平均株価が上がったということは、大口の機関投資家が株を買う意欲が高かったということなので、東京市場でも日本株を買い増すことが予想されます。逆に、NYで株価が下がるということは、売りが優勢になったということなので、東京でも株が売られる傾向があるのです。

株を売買している人は個人投資家以外に、企業として投資を行っている、機関投資家と言われる大口の投資家が存在します。生命保険会社や証券会社、年金の運用をしている会社や、個人投資家から資金を集めて運用する投資ファンドなどです。

これらの機関投資家は、何か不安要素があると、まずは保有している株を売って利益確定をして、低リスク商品である債券を買ってリスクを減らします。

逆に、買い時と考え、株に資金を注入したいときには債券を売って株式を買い、資産運用における株の比率を増やします。一度に大きな資金を動かすため、そのような動きは市場の値動きに大きな影響を及ぼしています。

機関投資家にとって、預かった資金の運用成績というのがとても重要です。投資ファンドのことを例に上げてみましょう。運用成績が良いファンドならば、自分のお金を預けて運用してほしい、と思う人が増えるのでどんどんお金が集まってきます。逆に成績が悪いと、資金を引き上げて他のファンドに移そう、と思う人が増え、どんどん預かり資金が流出してしまいます。

このように、運用成績がすべてといってもいい機関投資家は、臨機応変に株を売って債券を買ったり、債券を売って株式を買ったりして少しでも利益を出そうと努力しているのです。そして彼らはNY市場と同じようなことを東京市場でも行うので、結果NYと東京市場では同じような市場の動きになることが多々あります。

ニュースでも、NY証券取引所でのダウ平均株価の動きは毎日取り上げられています。それを見ると、日経平均株価が上がりそうか、下がりそうかという予想をすることができます。特に、株の売り買いを考えているときは注意して市場の値動きを見ておく必要があります。

アメリカの指数に注目する

株価に影響する指数というものがあります。アメリカが発表する指数は世界中の投資家が注目しています。アメリカは経済大国であり、株式市場も大きいので、世界中の投資家が発表される指数に注目していて、為替も株式市場も敏感に反応することが多くなっています。ここではその代表的なものを紹介します。

GDP

GDPは国内総生産とも呼ばれ、国内で1年間に作られた「もの」や「サービス」の総和のことで、生産が増えているか、ということを表す指数です。生産が増えているということは、消費も増えているということです。生産→消費→生産のサイクルがうまくまわっているということができます。

生産が増えているということは、たくさんものを作らなければならないということなので、企業の設備投資が増えているということができます。設備投資が増えるということは、そこで働く人も必要になるわけですから、雇用もよくなります。雇用がよくなると、お給料が上がり、消費意欲が上がります。皆が物をたくさん買うと、企業は製品をたくさん生産しなければならなくなるので、また設備投資を増やす。。。

といった具合に好循環が生まれ、企業としては売上が上がり、利益が上がり、企業活動も活発になるわけですからプラス要素です。このように、GDPを見ればその国の経済のサイクルがうまくいっているかがわかるようになっており、GDPが良い場合は企業の株価も上がり、結果株式市場全体も値上がりする傾向があります。

では逆に、GDPが悪かった場合はどのようなことが考えられるでしょうか。GDPが低いと、経済活動が活発でない、調子が良くないということです。その場合は、企業の生産や売上が鈍っているということで、業績が伸び悩んでいるということですので企業の株価は下がる傾向にあり、結果株式市場全体も下がります。

ただ、GDPが悪かった場合にはもう一つの見方もできます。GDPが予想より悪かった場合は、企業がお金を借りやすくして、設備投資を増やしたり企業活動を活発に行えるようにすることが必要なので、金利を下げる政策がとられる可能性があるということです。

金利が下がると、もらえる利息が少なくなるということですから、債券への投資はうま味がなくなり、債券を売ってそのお金で株式を買う、という逆の動きが出ます。よって、金利政策がどうなるかということも注視して見ていく必要があるのです。

失業率

毎月発表されている指数で、失業者数を労働人口で割って出される指数のことです。失業率は5%だと通常の水準で、4~5%であればほぼ完全雇用状態とみなされます。失業率が低いということは、働く仕事がたくさんあるということです。仕事がたくさんあるということは、企業活動が活発で、設備投資などを積極的に行っているので、結果仕事がたくさんあり、失業者が少ないということができます。つまり、景気が良いという状態を表しているので、失業率が低いと株式が買われる傾向にあります。

しかし、景気が良いときは、逆に金利を上げる政策が取られることがあります。金利が上がると株式から債券に資金が流入し、株式市場が下がることもあるので、金利政策には注意が必要です。

それでは、失業率が高い場合はどうでしょうか。失業率が高いということは仕事がないということであり、企業活動が活発でなく、業績も伸び悩んでいるということができるので、景気が悪くなるのではという見方から、結果株が売られ、市場全体も下がる傾向があります。

しかし、このような場合は企業活動を刺激するような政策がとられることがあります。企業がお金を借りやすくして、設備投資などをしやすくするように金利が下げられることがあるのです。金利が下がった場合は債券が売られ、株式が買われるといった動きが出ますので、その後の動きも注意してみていく必要があります。

米FOMCの金利

金利の動きは株式市場に大きな影響を及ぼします。アメリカの政策金利を決定している機関はFOMCと言われ、連邦公開市場委員会と呼ばれます。アメリカの金融政策の最高意思決定機関です。年に8回、約6週間ごとに政策金利が発表されます。

景気がよく、経済状況が良いと判断された場合利上げが行われることが多いのですが、利上げ後はどうなるでしょうか。企業が借入れているお金の利息の支払が増え、企業の利益がその分減少します。また、新たな設備投資等のためにはお金を借り入れることが必要ですが、金利が高い場合はお金を借りることが困難になってきます。そうなると、企業活動も停滞し、業績も伸びないので結果株が売られる傾向にあります。

また、金利が高いともらえる利息も多いことから債券の人気が上がり、株式を売ったお金で債券を買うという動きが出るので、このような面からも株式市場は下がりやすくなります。

為替面ではどうでしょうか。高い金利を求めて、海外の投資家がアメリカの債券を買おうとします。これはドルでなければ買えないので、債券を買うために皆ドルを買い、ドル髙になります。対円の場合は円安ドル髙になりますね。

日本の証券市場はアメリカの値動きに影響され、同じように動く傾向がある、と説明してきましたが、金利が絡む場合は少し違った見方もできます。金利が上がると債券が買われるためドルも買われ、円安ドル高になります。日本は輸出が多い国ですので、円安になると輸出面で有利になり、売上があがります。為替差益も期待できます。このように会社の利益が上がることが予想されることから、逆に株が買われる傾向にあるのです。

織り込み済み、ということ

発表される指数を世界中の投資家が注視しているわけですが、前回の指数より良い指数が発表されたから上がる、低い指数が発表されたから下がるというわけではないので注意が必要です。去年より良い指数だったけれど、市場関係者が予想していたよりも低いと株式市場は下がることがあります。また、去年より悪い指数だったけれど、予想されていたよりもましだった、という場合は上がったりもするのです。予想よりも良かったか、もしくは悪かったか、ということが一番のポイントとなります。実際の数字以上に、どう予想されていたか、その結果どうだったのか、ということがより重要です。また、「金利が上がりそうだ」「雇用統計が悪くなりそうだ」といったような予想が市場関係者の中で認識されると、実際に発表される前から株価が上がりだしたり、逆に下がったりします。このように、実際に発表される前、予想された段階で株価があがったり下がったりすることを「織り込み済み」といいます。情報をうまくキャッチして、その情報が株価に織り込まれる前に売買できれば、利益を得られる可能性は高まります。

近年はネット証券などでも様々なサービスを行っており、情報提供も活発に行われているので、それを賢く利用していくことが大切です。

このように、指数の発表一つで様々なことが動き、色々な要素が絡み合いながら株式市場は上下を繰り返しています。このような仕組みがわかると、ニュースや新聞の情報も、より深く考えることができます。知識を少しずつ増やしながら、自分なりの予想を立ててみるのも面白く、投資をする醍醐味の一つとも言えるでしょう。

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