株初心者のための外貨建て債券とは

近年アベノミクスで株式市場に注目が集まり、投資を始めた人も多いのではないでしょうか。しかし、投資にはリスクがあり、株式など高いリターンを望める商品には高いリスクがつきものです。

リスクがあっても高いリターンを追求したい人や、低リスク低リターンで運用したい人など、個人それぞれ投資に対する考え方がありますが、海外ではリスクを少しでも下げながら効率的に投資をする方法として「分散投資」が広く行われています。

値動きが異なる様々な金融商品を組み合わせることでリスクを下げるやり方です。分散投資をする場合は株式だけではなく、株式と逆の値動きをすると言われる債券も組み入れて運用し、リスク分散を行います。また、株式はひとつの銘柄ではなく、業種が違う銘柄を複数組み合わせたり、気軽に買えるようになった外国株を組み入れるのも一案です。

また、債券は社債(株式会社が発行する債券)だけではなく国債(国が発行する債券)や外貨建て債券(外国で発行された債券)を組み合わせて運用すると、リスク分散となります。このように、今後起こりうる様々な局面に対応できるように分散投資をするという考え方はどの時代でも通用するやり方で、これから資産運用を本格的に始めたい人にとっては是非覚えておいてもらいたい方法のひとつです。

外貨建て債券に投資する

外貨建て債券という商品を知っていますか?これは、発行元が外国の債券のことで、基本的にはその国の通貨での取引が行われます。

豪ドル建て債券なら豪ドルを買い、米ドル建て債券なら米ドルを買って購入します。債券というものは、満期まで保有すればその発行元が倒産しない限り、額面の金額が支払われることが保証されているので、とても低リスクな商品です。

しかし、日本で信頼度が一番高い債券は国債と言われていますが、3年国債も5年国債も年利が0、05%と低く、2~3%と言われる物価上昇率をカバーできるような利益は確保できません。このような中、利率が高い外貨建て債券が注目されているのです。近年ネット証券などでも様々な外貨建て債券が購入できるようになり、資産運用に組み入れる投資家が増えてきています。

一番のメリットは高い利率

債券は発行元が倒産すると価値がゼロになってしまうので、信頼度の高い発行元の債券を選ぶことが重要です。各国の政府が発行している債券のほかに、企業が発行しているものも多くあり利率が髙く、人気があります。では、個人で発行会社の信頼度を判断するには、どうすればよいのでしょうか。

それは、格付け機関と呼ばれる会社が出す格付けをしっかりとチェックすることが大切です。アメリカのムーディーズやスタンダード&プアーズ(以下S&P)が格付け機関として有名ですが、彼らは企業の業績や財務内容などを専門的な知見からしっかりと分析し、その企業が発行する債券の元本償還能力や利払い能力を格付けとして公表しています。これを見れば、誰でもその会社や発行した債券の安全度がわかるようになっているので、債券を選ぶときには必ず格付けに目を通すことが必要です。

基本的な仕組みとしては、格付けが高い発行元が出す債券は利率が低く、格付けが低い発行元が出す債券ほど利率が髙くなっています。信頼性のある、安全度が高い会社が出す債券は利率が低くても買い手がたくさんいるためです。逆に、安全度が比較的低いと思われる発行元が出す債券は、買い手が少ないため多くの人に興味を持ってもらえるよう、メリットである利率を髙く設定しているのです。

債券を買うときは格付けが重要

債券を購入するときは、買う時点ではその会社が安全だと思うから買うわけですが、償還は3年後、5年後、10年後です。その時にその会社が存続しているかということが一番重要ですが、将来のことは不透明で確信が持てない時代であり、なかなか個人投資家としては判断するのが難しいところがありますね。

倒産とはいかないまでも、一昔前には一世を風靡していたシャープが今このような状態になったことを考えると、大手企業といえども将来は不透明なところがあるのです。外国の企業はなおさら、会社情報もわかりにくく、個人では分析もしにくいところです。

よって格付け会社の格付けというのが債券を買う際の大きな指標となります。S&Pの格付けを例にとると、元本償還と利払いが最も確実と予想される債券をAAA(トリプルA)とし、最低ランクであるDまで10段階の格付けに分かれています。また、それぞれの格付け段階にプラスもしくはマイナスがつくことから、実際はより多くのランクに分かれていることになります。

BB以下は投資不適格とされているので、それより上の格付けで、発行元や利率、格付けを考え合わせながら、購入を考える必要があります。

近年の日本の社債は利率1%を割り込んでいるものがほとんどで、それらと比べると、外貨建て債券はかなりの高い利率です。逆に高いと不安になってしまいがちですが、発行元の信頼性が低いから高いわけではなく、その国の市場金利に合わせて利率を設定しているからです。

逆に日本の利率があまりにも低すぎるというのが実際のところです。しかし逆に、もしも大幅に円高が進んでいて1ドルが80円だった場合は、79.75×12,000=957,000円となり、元本割れする危険性もあるのです。

格付けをしっかりチェックしながら、希望の償還年数の債券をしっかり選んでいきましょう。

リスクは為替差益

外貨建て債券は高い利率というメリットがありますが、リスクも存在します。それは為替差益というものです。為替は日々動いており、1ドル=100円のときもあれば、1ドル=105円になったりもします。それはユーロでもオーストラリアドルでも同じです。

このように為替は変動するため、購入するときの為替相場と、償還された時の為替相場が同じでないときも多いのです。ここで、ドル建て債券のことを考えてみます。外債を買うときは、まず外貨を買うことが必要なのですが、外貨を買うのに手数料が発生します。外貨によって変わりますが、ネット証券のA社の場合、手数料は1米ドルにつき25銭、1ユーロにつき50銭、1オーストラリアドルにつき70銭です。

ここで、1ドル=100円の時に利率4%、5年満期のドル建て債券を1万ドル分買うことを考えてみましょう。

まず、1万ドルを買うことが必要ですが、手数料が1ドルにつき25銭かかるので、1ドル買うのに100円25銭かかる計算になります。よって、

100.25(円)×1万(ドル)=1,002,500円 必要となります。債券保有時は、利率が4%なので1年間に受け取る利息は400ドル、毎年支払われる利息は5年でトータル2000ドルになります。5年後償還されると、1万ドルが戻ってきます。

受け取った利息を合わせると、5年で1万ドルが1万2000ドルになった計算です。ここで、このドルを日本円に換算してみます。購入時と同じ1ドル=100円だと、ドルから円に変換するときに手数料がまた25銭かかるので、1ドルにつき99円75銭受け取れることになり、99.75×12,000(ドル)=1,197,000円受け取れます。

償還時、購入したときよりも円高で、1ドル=90円だった場合はどうでしょうか。手数料を引くと1ドルにつき89円75銭受け取れることになるので、89.75(円)×12,000(ドル)=1,077,000円になります。

もしも大幅に円高が進んでいて1ドルが80円だった場合は、79.75×12,000=957,000円となり、この場合は元本割れするしてしまうことになります。

逆に、円安になっていて1ドル=110円だった場合は、109.75(円)×12,000(ドル)=1,317,000円となり、大きな利益が見込めます。

このように、ドルから円に変換するときのレートによって、思っていたほどの利息を得られなかったりもしますが、逆に予想外に大幅な利益を得たりもできるのが外貨建て債券の魅力の一つとも言えます。

もちろん上記のように元本割れするリスクもありますが、この場合は利率が高く毎年受け取る利息が大きいため、かなりの円高にならないと元本割れにはなりません。しかし、元本割れの可能性がゼロとはいえないのもこの外貨建て債券の特徴なのです。

このように、購入時のレートよりも円高に進んでいた場合は、当初考えていたよりも「損」をする場合もありますが、損を回避できるかもしれない方法があります。

利息受け取り時や償還時に、外貨のままで受け取るように最初に設定しておくことです。円で受け取る、と設定すると、自動的に円に変換されて口座に振り込まれてしまいますが、ドルやユーロなどその外貨での受け取りを設定しておくと、利息を受け取ったときや満期での償還時に外貨のままで受け取ることができるので、円高だった場合はそのままで保有して、円に変える時期を自分で判断すればよいのです。

このように自分の好きなタイミングで外貨から円に変えられるよう、外貨建て債券の購入時には長期的においておくことができる資金を使うことが大切です。

また、利息にかかる税金ですが、外貨建て債券で受け取る利息にも20.315%の税金が引かれます。しかし、税制が改正され、債券・公社債投信の利息や譲渡益と、株式投信・上場株式の売買益との損益通算が可能になりました。

今までは、株で損をしていても、債券でも利息や譲渡益には税金がかかっていましたが、今後はそれらを通算することができるようになり、債券と株を一緒の財布で見てよい、となったのです。よって、株など他の商品で損失が出ているときは利息の税金がかからない場合もあり、税制改正も分散投資の後押しとなっています。

参考: FXを始める前に需要と供給の関係で動く為替相場を理解しよう!

資産の一部を外貨にする意味

このように、高い利率を求めて外貨建て債券に投資をする投資家が増えていますが、自分の資産の一部を外貨で保有しておくという意味でも外貨建て商品への投資は重要です。

ニュースで目にすることも多いと思いますが、日本は異常に借金が多い国であり、先進国の中でも最悪です。毎年の一般会計税収は約58兆円ほどありますが、過去からつもり積もった公債残高は、その税収の15年分、約830兆円にものぼり、自転車操業状態であるといっても過言ではありません。

長年国が破綻してしまうのではという議論はたびたびありましたが、幸いなことに今のところその予兆はありません。世界で何かが起こると安全通貨として円が買われますし、まだまだ日本という国は世界の経済に対して影響力をもっています。しかし、10年後、20年後はわかりません。もしかしたら、日本が借金を返せなくなったり、急激にインフレが進んだりして国の力が衰え、結果外貨に対して円が暴落するという状況もありえなくはないのです。

1ドル150円や200円の時代もあったのですから。近年中国の台頭もめざましく、軍事的に隣国を威嚇することも増えています。また、イギリスのユーロ離脱や、トランプ氏が大統領になるかもしれないなど、世界で不透明さが増してきています。

過去に例があることであれば、その時の状況をなぞらえて分析し、予想することもできるのですが、過去例がないことがたびたび起こっているのでなかなか将来を見通すことができません。しかし、将来の資産の目減りを防ぐためにも、自らの資産を運用していくことは必要な時代です。少しずつ知識を身につけ、経験を積みながら分散投資をしていくことが資産を守り、将来の備えとなるでしょう。

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